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■緊張感 ■マチエール ■最近のアート ■秋に想うこと


★アトリエからのメッセージ(6)★




04/12/29
[18]子供の絵
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ピカソやマティスの絵は、見たままのものからイメージされたものを重ね合わせることにより、ひとつの意志が加わりそれがデフォルメされ、そして形がどんどん変形されて生まれて来ました。これらの絵は見た目だけ(表面だけ)をまねすることは誰にでもできますが、その中に含まれた深い意志はまねできません。

ほとんどの子供の絵は左脳で描かれていますが、右脳が働いた素晴らしい絵は、その時の子供にしか描けない線を出します。それが大人になるにつれて形や常識がととのってゆき、子供の頃の常識をはずれた感性を忘れてゆきます。その感性を意志により大人になっても描こうとすると、優れたデッサン力と子供のまなざしが必要なのです。ピカソはこれを目指し、そして描いた数少ない天才です。子供の感性というのは心が美しいとか純粋というような精神的なものを指しているのではなく、生きてゆくうえでの経験が少ないため大人では考えられない行動や動き(表現)をするということです。

絵の中にアウトサイダーアート(主に知的・身体的障害者の絵を指します)というものがあり、この中には素晴らしい絵があります。それは大人になっても子供のまなざしを持ち続けている絵で、これらの絵は具象的な絵画とは一見掛け離れているようですが、そこには自然に対する同じまなざしが注がれています。






04/12/26
[17]右脳
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小さい子供の絵はほとんど左脳で描いていますので、どの子も同じように単純な丸や線を使って絵を描きます。みかんとりんごを描かせれば、どちらも同じような丸を描くでしょう。これは情報が先に入っていて、よく見るという訓練をしていないためです。ほとんどの子供の頭の中には、日常生活の中で単純化された情報がサインとなって入っているだけなのです。

これらの子供の絵を個性溢れるものにするためには、右脳で描くことを訓練することです。それは物をよく見るということです。よく見るといっても、見ながら描くとか写実に描かなければならないということではなく、その子が持っている感性で、何の捕われもなく物を見ることによって初めて子供の柔軟な感性は芽生え、発見や感動も出てくるのです。そして大人にも考えつかない発想や、描けない線や色がこの時初めて出てきます。

子供のイマジネーションを高めるには、まず初めに様々な角度からひとつのものをよく見て、そして観察することです。ピカソやマチスはそれを目指しました。そのピカソの絵もレンブラントやラファエロの絵も、右脳で描くということではある意味同じものです。見るという意志がないと絵はどんどん左脳に占領されて、誰もが持っている平凡な絵になります。その子の個性を引き出すには右脳で描くことです。左脳で描かれた絵には何の魅力もないのですから。





04/12/19
[16]見る
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すべては自然の中に答えがあります。遥か昔、私たちの地球もひとつの水素から始まり、それが結び付き形が作られ大地ができ、水が生まれ、空ができました。人が産み出す創造力はすべて自然の掌の中にあります。自然の形は想像に富み、あらゆる点と線が無限に絡み合い、人間の能力を遥かに超えたところに抽象や具象が存在するのです。

自然は誰でも見ることができますが、自然を見るということはただ眺めているのでは何も起こりません。そこにしっかり“見る”という意志が加わり、自然の細部に眼が行った時、初めて創造という力が湧いてくるのだと思います。何を見て何を創造するか、それはその人の感性にゆだねられます。細部を見ることによって人の脳が活性化され、絵画的視野が湧くのです。

私は見ることは自分の掌に乗せることだと考えています。手から離れるとそれは“見る”から“眺める”に変わってゆき、離れるほどただのサインとなって脳に伝わります。描く力とは脳にそのものをどれだけリアルに念写するかということです。したがって描く前にどれだけ“見る”かが大事なのです。

眼をつぶって見えてくるものが描く力です。手にサインのように覚えさせるのではなく、大切なのは視角によって脳に焼きつけることなのです。手を鍛えるのではなく、脳を鍛えることが創造力につながっていると私は確信しています。しかしデッサンがいらないということではありません。描く行為に移った時、何倍もの集中力が生まれ、それを一気に爆発させるためにしっかり見て形を脳に刻んでゆくのです。



 

玉神輝美のサイン