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私の釣りの思い出

私が育った宇和島市は、海と山に囲まれた、今でも自然豊かな美しいところです。
私は小さい頃、父とよく釣りに行きました。釣り方は竿で釣るのではなく、てぐすの糸だけで釣る手釣りです。いちばんオーソドックスな釣り方で、釣りの原点だと思います。魚のあたりは指先にストレートに伝わってくるので、微妙なあたりも逃しません。映画“老人と海”に出てくる老人の釣り方です。
船で沖まで出て釣るのですが、船といってもこれもまた原点のような船で、どっしりとした木でできた櫓で漕ぐ船です。たとえば宮本武蔵が厳流島に行く時使った、あの船です。

櫓の長さは船の全長(4〜5m)ほどあります。小さい頃の私には、とても漕げませんでしたが、小学校5〜6年生になる頃には、スムーズに自然と漕げるようになっていました。
その船(宇和島では伝馬船といいます)に乗って沖に出て船を流しながら釣るのですが、その時間や場所、季節などによって、釣る魚はいろいろ変わってきます。
アジ、鯛、ハマチ、カワハギ、キスなど、ありとあらゆる魚が釣れます。また宇和島近郊の海には小さな無人島がいくつもあり、昼になると好きな島に船を付けて持ってきた弁当を食べます。まわりには人気はなく、トンビの鳴く声が聞こえるくらいで、たいへんのどかな情景です。私はそんな島でねそべって、空を見るのが好きでした。白い雲を見ていると、時間がゆっくりと流れてゆくのが感じられるからです。

海にもいろいろな顔がありますが、私は凪の海(風がまったく無く、波が無い状態)にゆっくりと船を漕いで、沖に出るのが好きでした。その漕ぐリズムはゆるやかで、船先を少し左右にゆらしながら静かに水をきって進む情景は、周りの自然と溶け合い、心をなごませてくれるのです。そこには昔からの人と自然の暮らしがあり、ゆったりと生きる生活のリズムがありました。

20歳までは数えきれないほど釣りに行きましたが、こちらに来てからは20年以上も行っていません。しかし幼い頃身につけた手釣りの感触は今でも覚えています。
またいつか宇和島の海で釣りをしたいですね。できれば伝馬船を漕いで・・・。しかし今はもう時代の流れで伝馬船はなくなっているかもしれませんね。


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Fish Gallery

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illustration by Kimi Tamagami
玉神輝美のサイン