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 宇和島城 | 菊美ど里劇場


ジャングルキャット

水中の世界は人をわくわくさせます。水の中は今でも神秘的です。地上には今は秘境とか未知の世界とかはなくなってきましたが、水の中にはまだまだわからないことがたくさんあります。

小さい頃、私は潜水艦にあこがれていました。それは映画“海底2万里”のノーチラス号です。ノーチラス号は私の冒険心を駆り立てました。7〜8歳の頃だと思いますが今見てもそれなりに楽しめますので、私が初めてこの映画を見た時、どれほど興奮したかわかっていただけると思います。

大ダコにしても海底の世界にしても、ものすごいリアリティで私に迫ってきました。その時の映像は私の中でどんどん膨らんでいき、オリジナルの映像とはまた違ったものを自分の中に作っていきました。これらのイマジネーションが私の絵を描く原動力となっているものなのです。

私の父が映画の看板を描いていたことから、私はいつも映画はただで見ることができました。小さい頃見た映画の中で、“ジャングルキャット”というディズニー映画があります。この映画が私のジャングルへの憧れを決定づけたのです。

ジャガーが出てくるのですが、そのジャガーが小さい小川にかかった倒木の上を渡る時、その下に黒い大きな魚がいたのです。川は浅く、魚の背が見える程でした。私は初めて見るその魚に釘づけになり、自分の感覚では4mも5mもあるように思えました。ジャガーでさえその魚にかかれば飲み込まれてしまうのでは、と思ったくらいです。

小さい頃なので、その後のことははっきりとは覚えていませんが、私の中では様々な妄想が膨らんでいったのです。私の小さい頃は今ほど情報が発達してなく、ジャングルが秘境と言われていた頃です。今ではその魚がアマゾンのピラルクということはわかっていますが、その頃はわかりません。

あれから2度とその映画を見ることはありませんでしたが、最近になってビデオショップで“ジャングルキャット”を見つけ、何十年ぶりかでその魚を見ることができましたが、私の記憶のイメージとは少し違ったものでした。それは無理もないことです。

あの時は初めて見た映画の記憶として残ったものです。しかし、今の私はいろいろなものを見てきています。実物のピラルクも水族館などで何度も見ています。その見なれた今の目で、昔のイメージの映像を望んだこと自体まちがいでした。あの時の初めて見た感覚というものは大事にしなくてはいけないと感じました。私は見終った後、ひとつの輝く星をなくしたような気持になりましたが、それはまた別の場所で輝いているのだと思います。私の遠い記憶の中に・・


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Fish Gallery
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illustration by Kimi Tamagami
玉神輝美のサイン