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 私の釣りの思い出 | 暑い夏の日東京へ行くけん | ジャングルキャット

 宇和島城 | 菊美ど里劇場


暑い夏の日

今思えば私の自然体験は、幼少時代の6歳くらいまでの、毎日毎日の外での遊びの中から作られてきたのかもしれません。友達と一緒に遊ぶこともありましたし、ひとりで遊ぶのも好きでした。好奇心が旺盛でひとりでどこへでも行く子供でした。日が暮れても家に帰らないので、毎日怒られるのですが、次の日もまた同じことをしているのです。

いつかこんなことがありました。4歳の頃のことだと思います。親に「東京に行くけん」と言って家を出ました。親は気にも止めていなかったのでしょう。私は初めてバスに乗り、いちばん後ろの席に座りました。その時バスの運転手さんは、私が誰かと同伴だと思ったのでしょう。そして隣のおじさんに「東京どっち?」と聞いたのです。するとおじさんが後ろの方を指したのを覚えています。周りの大人達が私にいろいろと話しかけてきた記憶があります。私は後ろの席で窓の外を眺めていました。

しばらくすると、黒いジープがバスの後ろに迫ってきたのです。そしてそのジープにバスが止められ、私はそのジープに乗せられて、どこかに連れていかれたのです。連れていかれた所は児童相談所でした。そこでいろいろ聞かれたと思うのですが、今はひとつしか覚えていません。そこにはたくさんの子供達が部屋の中で遊んでいました。「この中に知っとる子おる?」と聞かれて、私は「知らん」と答えたのを覚えています。ここからの記憶はありません。

古い日本の映画に“にあんちゃん”という映画がありますが、これを見るたびに私は小さい頃を思い出します。その頃は1日1日が今よりもずっとずっと長かったように思えます。
この間、母親にこのことを聞いてみました。夜になっても帰ってこないので、警察に連絡したらしいのです。それは4歳ではなく、まだ歩くのもぎこちない3歳頃のことだったようです。あのバスの踏み台になかなか登れなかったのを覚えていますので、すごく小さい頃だったんですね。


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illustration by Kimi Tamagami
玉神輝美のサイン